木村元彦「オシムの言葉」

オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える
木村 元彦 (2005/12)
集英社インターナショナル
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 2003年、ジェフユナイテッド市原の選手達の前に、のそっとその巨体を現した男性、イビツァ・オシム。ジェフの新しい監督だった。通例の監督挨拶を請われると右手を振って拒否し、戸惑うスタッフを尻目に選手のテーブルに近づいていった。こんこん、と机を二回ずつノックして一周まわり、終わると自席で食事を始めた。この人こそ、最後のユーゴスラビア代表監督として、自国をイタリアW杯ベスト8に導き、かつて指導を受けた選手たちに「最高の指導者」と言わしめた名匠である。

 丁度ジェフがナビスコで初タイトルをとったころに出たので、それに便乗したネタ本だろうと高をくくっていたのだが、いやはや何とも、己が不明を恥じたい。著者は長年ユーゴスラビアのサッカーを追ってきたジャーナリストで、これは「誇り」「悪者見参」に続く、ユーゴサッカー三部作の完結編にあたるのだそうだ。
 作中に幾度か登場する対磐田戦は私の記憶にも残っている。もっとも当時は敵将としてオシムを見ていたし、ジェフのサッカーは敵としては厄介で怖いものだった。ジェフに勝てば、まるで優勝したかのような喜びようだったことからも、その強敵ぶりが思い出される。裏を返せばそれだけ良いサッカーをしていたのが当時のジェフだった。
 敵として悩ましいくらい面白いサッカーを構築するオシムが、日本代表監督に就任するという報を聞いた時の安堵感と高揚感は忘れられない。ほんの2,3年ジェフのサッカーを見ただけで惹かれてしまった、その指導者がA代表の監督になってくれたのである。味方にするのにこれほど心強い人はいない(私の感じる限りでは)。昨年はまだまだその魅力を感じきることの出来る試合は少なかったが、先日の対コロンビア戦はとても見ごたえがあって、非常に面白かった。来月のアジア杯が俄然楽しみになった。
 オシムについて、私は日本に来る以前のことはほとんど知らない。この本を読めて良かった、こういう本を書いてくれる人がいて良かった。この先の代表がとても楽しみに思えるようになって良かった。
「2回のノック」の意味がわかったとき、うわぁと感激した。ただただ感謝です。(2007.6.20)




 
(以下は独り言である。)
 
 アジア杯予備登録メンバーが発表された。
 前田選手の評価が高くて、ファンとしては喜ばしい限りだが、考えてみれば、オシム監督はジェフ時代に結構得点をあげられて、煮え湯を飲まされてきた相手ではある(はず)だし、そういう事も加味してのことなのだろうか。まあ、とにかく23人に選んでくれなければ意味がない。それまではジュビロにしっかり貢献してくれたまえ。
 私の願望としては、アジア杯のピッチで高原−前田の2トップを見たいものである。
book | 【2007-06-22(Fri) 23:33:19】 | Trackback:(0) | Comments:(0) | [編集]
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